老犬人事

 みなさん夏休みやお盆休みはどのように過ごしましたか?自宅でゆっくり過ごした方、実家に帰省して親戚と顔を合わせた方、お墓参りをしてご先祖様を盛大にお迎え・お送りした方、海や山に行ってアウトドアを満喫した方など充実した夏休みを過ごしたことと思います。私は、両親の実家に帰省して親戚と顔を合わせたり、お墓参りに行ったりしました。そんなお盆ですが、正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と呼ばれ、亡くなったご先祖様の霊を供養するための行事だそうです。仏教の多くの宗派では、あの世(浄土)からこの世(現世)にご先祖様が戻ってくる期間と考えられており、そのご先祖様の霊を自宅をはじめとした生前過ごした場所でお迎えし、おもてなしをします。

 今回は、大館市で語り継がれている「定六とシロの悲話」をご紹介します!

 その昔、鹿角市大湯(旧南部領)に代々定六と名乗るマタギが居り、先祖の功によって領主から天下御免の狩猟免状(他の領内はもとより、寺社内でも猟が認められる書状)が与えられていました。定六には、シロという飼犬がいて、狩猟のよき協力者でした。ある寒い冬のこと。定六とシロはカモシカを追って、鹿角境を越え三戸城の近くまでいきましたが、獲物を見失い落胆していました。愛犬シロに励まされ帰路につこうとした矢先、突然数人の男に取り囲まれました。男達は三戸領の役人で、領内で発砲した罪で定六を捕らえに来たのです。定六は天下御免の狩猟免状を見せようと懐中に手を入れようとした瞬間、不覚にもその日に限って、狩猟免状を忘れて来たことに気付きました。日頃無口であった定六が一心に事情を釈明したものの、聞き入れてはもらえず、定六は役人たちに強引に捕らえられ投獄されてしまいました。捕らわれた定六は、免状を取ってくるようシロに繰返し語りました。すると、シロはブルブルと大きく身震いし、暗闇の中に消えて行きました。シロは家にたどり着くと、定六の妻に向かってせわしなく吠えましたが、彼女には何のことか判りませんでした。再び定六の元へ戻ったシロに、定六は免状を取ってくるようその場所を何度も語りました。そしてシロは疲れた体を休めることなく、また十幾里の雪の山河を家へと駆け戻り、免状の置き場所である仏壇の下で激しく吠えました。ようやく定六の妻は免状のことと思い当たり、慌ててそれをシロの首に結び付けました。しかし、シロが精魂を尽くして三度、定六の元へ駆け戻ったときには、すでに定六は処刑されており、亡骸が無惨に横たわっていました。その夜以来、森の山頂からは幾夜幾日となくシロの悲しい咆哮が三戸の城下に響きました。やがて、この地方には天変地異がおこり、定六の処刑に関連した人々は無惨な死を遂げたといいます。その後、所払いを受けた定六の妻とシロは秋田領十二所館に近い大館市葛原に移りましたが、いつからかシロの姿が見えなくなり、ある日白骨化した死骸が近くの丘で発見されました。この後、武士が馬でこの丘を通りかかると突然馬が暴れだし、落馬して大けがをする、ということが幾度となく繰返されたため、村人は主を殺した武士に対するシロの怨念だと恐れ、供養しようと山腹に神社を建ててシロを祀りました。それが現在の『老犬神社』です。人々は永くこの悲話を伝え、今もシロへの愛情を守り続けています。

 さて、前置きが長くなりましたが、お盆休みが明けてすぐに電撃ツアーが開催されました。今回は2名の高校生が参加してくれて、楽しく有意義な時間を共に過ごしました。最初は緊張でガチガチだった高校生たちでしたが、上司に伝授いただいた巧みな話術によって会社説明会で高校生たちの心の扉を半分こじ開けることに成功しました(笑)その後は、木質バイオマス発電施設の見学や新築住宅の電気設備工事現場を見学しました。新築住宅の現場では、同じ学校の先輩である入社1年目のSHOが丁寧でわかりやすく施工内容の説明をしてくれました。直々の先輩後輩ということもあり、SHOと高校生たちはあっという間に打ち解け、和やかな雰囲気で会話を楽しんでいる様子でした。高校生たちは、頼もしく成長している先輩SHOにリスペクトと羨望の眼差しで先輩の説明に聞き入っていました。高校時代は電気のことを勉強したことのなかった先輩SHOですが、入社4~5ヵ月でコンセントやスイッチの設置作業が一人でできるようになった姿を見て、人事担当の私は嬉しくなりました。一人でスイッチの設置を行ったSHOに高校生も思わず拍手をしていました!先輩の頑張っている姿を見た後は、「ラーメン壽我」で濃厚こってり味噌ラーメンとバターコーンライスのセットを注文しました。席に着き、私がお水を取りに行こうとすると、高校生2人が気を利かせて「僕がやりますよ!」と代わりに水を汲んでくれました。ラーメンが着丼し、「おいしいです!」と言いながらラーメンを啜っていましたが、後半になるとお腹が苦しそうな表情をしていました。さらには、午後に控えている学校の小テストのことが不安で、余計にご飯がのどを通らなかったのだと思います(笑)それでも何とか完食し、テストを直前に控えた高校生たちに、「答えがわからないときは、解答欄に『タクミ』と書けば、きっと△をもらえるよ!」と的確なアドバイスをして、ツアーは無事終了しました!テストでどうしようもなくなったら、『老犬人事』の私の上司のところに履歴書持参でお参りしてみてください!(笑)

 あっ、上司から運転免許証を車のダッシュボードから取ってくるように頼まれてたのをすっかり忘れてた!!(焦)

 今回参加してくれた高校生は、とても素直な心を持っており、挨拶やお礼が立派にできていたり、周りを見て行動していたりとぜひタクミで一緒に働いて育てて行きたいと思える人財でした!私も老犬神社に祀られているシロのように、2名の高校生からの応募をじーっと待ち続けたいと思います。