占い師ムツゴロウ現る!?
いつもであれば、1名参加してくれるかどうかのセミナー。半分諦めかけていたところに、イベントの主催者からメールにて参加者リストが送られてきた。そのリストを見てみると、4名学生の名前が書かれていた。すると、上司は驚きと喜びが入り混じった表情で「4名も来てくれるのは嬉しいけど、まだ説明パワポを作っていない!!やばい!」と焦っていた。なかなか見れない上司の慌てている姿と、参加学生が4人もいる事実が嬉しかった。(嬉しいハプニング①)
セミナーの前に人事御用達のラーメン屋「桜木屋」に行って、ランチを食べることにした。私は、後輩にオススメされていたネギ塩ラーメンをずっと食べたいと思っていた。そのため、「今日は絶対にネギ塩ラーメンを食べるぞ!」と心に決めて、頭の中はネギ塩ラーメンから立ち上る湯気でいっぱいで脳みそが蒸しあげられた状態で、桜木屋に到着した。1番乗りかと期待して開店前に到着したにも関わらず、メニューを見ると何と「ネギ塩ラーメン」という文字の上に白いシールが貼られ、そのシールには「現在お休み中」と書かれていた。お目当てのラーメンが食べられなくて悲しくなった。横を見ると、お腹を抱えて笑い転げる上司がいた。(悲しいハプニング②)
おいしい「肉そば」(大盛)を食べ大満足して、本社に戻りルンルン気分でオンラインセミナーの準備をしていた。担当者から送られてきたURLからZoomに参加し、どんな面白い学生達がきてくれるのかあまりにウキウキしていたため、企業の入室時間の40分前に入室してしまった。意識が高い優等生の私は、時間に余裕があったので入念にマイクやカメラ、背景、画面共有の設定を済ませ、入室時間になるまで待機をしていた。そして、いよいよ時間になり、担当者からセミナーの流れなどの説明があり、そのあとに動作確認を行った。ところが、いつもは問題なく共有できているPowerPointだが、なぜかこの日に限って共有がうまくいかず、急遽上司のパソコンを使用することになった。少し前までは時間と心に余裕を持って浮かれていたが、学生の入室まで3分を切る中、息をすることをさえ忘れるほど必死にセッティングをしたため、セミナーが始まるころには私は上司の隣で過呼吸に、上司は呼吸停止状態に陥っていた。その状態でもセミナーが始まると、アカデミー俳優のように、スイッチが入って見事なプレゼンをする上司はやはりただモノではない。(ハプニング③)
セミナーを何とかきり抜け、北上営業所に向かって高速道路を走行中、目の前に怪しい車が合流してきた。それを見た上司は、右手にハンドル、左手に車内にあったチョークを持ち、訳のわからない数式を書き始めた。そして、フロンドガラスが謎の数式で埋め尽くされたその瞬間「実におもしろい」と、どこか聞き覚えのあるセリフが聞こえてきた。その後、「目の前の白いセダンは絶対に追い越してはいけない!これから我々を追い抜くコンパクトカーは大変なことになるであろう。」と論理的に説明してくれた。なぜならば、目の前を走っているのは、覆面パトカーだと見抜いたからだと上司は言う。人事のプロとして人を見抜くことに加え、車両や搭乗者についても見抜く能力があるのかと半信半疑でいた私は、この後ほんの少しだけチビることとなった。1台のコンパクトカーが爆速で我々の車とその前を走る白い車を追い越していった。すると、その瞬間、その白いセダンの上に赤色灯が忽然と姿を現し、コンパクトカーを猛追し始めた。私は驚きのあまり顎が外れたまま、高速を降りた。(驚きハプニング④)
いま振り返ってみると、実はハプニングだと思っていた4つのエピソードすべてが上司の思い描いたストーリーだったのかもしれないと思うと怖くなった。そんな予知能力を誇る上司は、よちよち歩きの私と正対すると水晶玉のような私の頭に聖なる両手を優しくかざし、「ヨチヨチ」してくれた。(笑)